センター概要

沿革

先端融合研究環極みプロジェクト(2018.10-2022.3)

2018年に発足した神戸大学先端融合研究環極みプロジェクト「ホログラフィック技術による生命現象の4次元計測・操作の実現とその臨床利用」では、光学、医学、生物学、情報工学の異分野共創研究として進めてきました。これまでの特徴ある成果として、観察に特化していた光学顕微鏡に光エネルギーで脳神経細胞活動を操作する機能を付け加えた「ライブイメージング&操作可能な2光子励起ホログラフィック顕微鏡(HoLM : Holograohic Live Imaging & Manipulation)」の開発に成功し(図1)、世界をリードする研究を推進してきました。既に神戸大学より3件の特許を成立させ、2件の特許が出願中です。さらにこれらの特許を元にJST A-STEPを中心としてホログラフィック顕微鏡の実用化を進めています。また、散乱透視イメージングを用いた植物における幹細胞化の解明に取り組んでいます。

開発した2光子励起ホログラフィック顕微鏡(HoLM)
開発した2光子励起ホログラフィック顕微鏡(HoLM)
図1:開発した2光子励起ホログラフィック顕微鏡(HoLM)

次世代光散乱イメージング科学研究センター(2022.4〜)

極みプロジェクトが進展するにつれて、更なる課題として、生体深部でのイメージングを妨げるものの第1の原因として散乱現象にたどりつきました。そして、散乱現象を克服することが、生きた生体深部での活動を可視化し、生命活動全体を紐解くための大きな課題であることを認識しました。散乱は古くから扱われた学問でありますが、統計的に扱われており、個別の散乱体に対して高分解能なイメージングや散乱体内部に光をガイドすることは現代の情報科学や数理科学、光計測技術の進歩も相まって、新しいアプローチで散乱を克服する「散乱透視学」のアイデアに辿り着きました。2020年からは文部科学省学術変革領域研究(A)「散乱・揺らぎ場の包括的理解 と透視の科学(散乱透視学)」の領域代表として新しい融合研究領域の創成に努めています。

神戸大学次世代光散乱イメージング科学研究センターは、散乱透視イメージング及び操作に関する学祭的研究拠点として2022年に設置されました。前身の2018年度開始の先端融合研究環極みプロジェクト「ホログラフィック技術による生命現象の4次元計測・操作の実現とその臨床利用」に始まり、組織整備や国内外との共同研究及び産学連携の強化を図っています。現在は、大学院理系4研究科(システム情報学研究科、理学研究科、医学研究科、工学研究科)と1センター(都市安全研究センター)に所属する教員と連携して全学的運営を行っています。11名の教員が4つの部門(光散乱イメージング部門、数理モデリング部門、応用部門、国際連携部門)において、散乱透視・操作に係る研究と教育を実施しています。散乱透視学によって神戸大学における生命科学系研究の組織横断的な役割を果たし、神戸大学研究力強化に貢献します。