情動や学習などの高次脳機能の発現には、分子からシステムに至る、脳における神経細胞・グリア細胞などの多種の細胞の階層的機能が必須です。
これまでグリア細胞は、神経細胞の支持細胞と考えられてきましたが、近年発達した光学技術によって、グリア細胞の新しい生理機能が明らかになるにつれ、高次脳機能と病態の理解にはグリア細胞は不可欠であるという共通認識が広がりつつあります。
このグリア研究において、日本は20世紀末から世界をリードしています。
本事業は、各国が独自に進めてきた各階層のグリア研究を横断的に融合し、未だに謎の多いグリア細胞の性質・機能、さらにその多様性から、脳機能の新たな側面を明らかにし、精神・神経疾患の革新的診断・治療の提案を世界規模で推進するための世界水準の国際研究拠点形成を目的としています。
脳機能をグリアの観点から明らかにする「グリア脳科学」が本計画の最大の特徴と独創性であり、国際グリアコンソーシアムを構築し、技術、リソースの共有化を計ることで、新規技術開発に臨みます。
本研究計画では、国際連携を強く推進して基礎研究を融合することでグリア研究に取り組む神戸大学を中心に、日本の最先端グリア研究者と世界のグリア研究者を結集して、グリア研究に基づく高次脳機能とその異常の理解を進めます。さらに、積極的に若手研究者を参画させ、次世代グリア脳科学研究を担う若手研究者の国際研究力の育成及び若手共同研究の推進による国際感覚の涵養に特に力を入れます。